2009年7月16日、北海道のトムラウシ山で起きた夏山での遭難をテーマにした本です。15人のツアー登山パーティのうち8人が死亡するという大きな遭難事故でした。
第1章。
生存者の証言を繋いだドキュメントで、各地から北海道に集まったツアー参加者とガイド達の遭難に至るストーリーが展開されていきます。参加者それぞれのキャラクターや思いも描写されており、事故その時への物語に引き込まれて行きます。
第3、4、5章。
気象、低体温症、運動生理学の観点から事故について詳しく述べられています。マスコミ報道のように感情に流される傾向や、悪者探しの風潮は最小限で、科学的な分析と考察からなっているため、とても価値がある章だと思います。
第6章。
近年生まれた『ツアー登山』というスタイルの登山の現状分析や改善提案などがされています。山岳会や山の先輩から山について教わりながら成長していく、というかつてのプロセスを踏んでいないという点では、今の自分にも共通することろがありました。
山の初心者から上級者まで読者を選ばず、良書だと思います。是非。
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